Nguyễn Khánh Linh - 21/04/2023
表面増強ラマン散乱(SERS)は、爆発性残留物等の物質の分析、犯罪現場の証拠の分析、化学物質・農薬等ラマンスペクトルの用途をさらに拡大しています。ラベルフリー技術をベースとしたSERSは、血糖値の分析から癌、アルツハイマー病、パーキンソン病等の病気の診断まで、バイオセンサーの用途にも適しています。
米国ミシシッピ州のジャクソン州立大学のチームは、酸化グラフェンと金ナノ粒子から構成されたポップコーン状のハイブリッドプローブを使用して、非常に高い感度でHIVのDNAの特徴を検出できるSERSの新しい変種を開発しました。
SERSは分析対象物を金属基材に吸着し、ラマンスペクトルで極めて分極の低い分析対象物を検出することを可能にしています。局在表面プラズモンは、基材とラマン励起レーザーとの間の電磁共鳴効果によって発生されることと同時に分析対象物と相互作用してラマン発光を最大1010倍増強します。
SERSは、基材、または溶液中に浮遊した接着剤を使用して実施することができる。金、銀、銅等の金属はSERSに最もよく使用される材料ですが、グラフェン、半導体、量子ドット等の新しいオプションも調べられています。酸化グラフェンの化学的に処理されたグラフェンの変種であり、生物学的用途に特に適したいくつかの特性を持っています。
殆どのSERS基材とは異なり、増強ラマン散乱が酸化グラフェン基材で観測できることは、化学的効果によるものと考えられています。酸化グラフェンと従来の金ナノ粒子をハイブリッドSRSプローブに組み合わせることにより、ジャクソン州立大学のチームは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)という2つの特に危険な病原体を検出するために、化学的および電磁的増強効果の両方を利用しています。
ポリメラーゼ連鎖反応、いわばPCR等の技術はウイルス検出の基準的な方法ですが、MERS-CoVコロナウイルス等のウイルスはラマン分光法およびSERS分光法でも検出できることが証明されています。大流行の状況で検査する場合、コストからいうとラマン分光法システムは、従来のPCRよりもアクセスしやすいです。