Nguyễn Khánh Linh - 29/03/2023
高分解能分光計は、各種のガスが閉鎖的な反応プラズマチャンバーに追加された後のアルゴン放出の変化を監視します。これらの測定から得られたプラズマ特性は、プラズマプロセスの監視に使用できます。
背景
プラズマはエネルギーを与えられたガスのような状態であり、その中には、原子の一部が励起又はイオン化されて自由電子とイオンになっています。励起された中性物質の電子が元の状態に戻ると、プラズマはプラズマ内に存在する原子に特徴的な波長の光を放出します。放出された光のスペクトルプロファイルは、プラズマの組成を確定する為に使用されます。プラズマは、熱、高出力レーザー、マイクロ波、電気、無線周波数等、色々な高エネルギー源を使用して原子をイオン化することで形成されます。
プラズマは、元素分析、薄膜堆積、プラズマエッチング、表面洗浄等の半導体製造をはじめ工業の色々なアプリケーションで使用されています。プラズマベースのプロセスを正確に監視することで、ウェーハの汚染を最小限に抑え、品質を向上させ、生産効率を最適化することができます。
プラズマモニタリング
プラズマサンプルに対して測定された放出スペクトルでのプラズマモニタリングは、詳細な元素分析結果とプラズマベースプロセスを制御する為に重要なプラズマパラメータを提供をすることができます。輝線の波長は、プラズマに存在する要素を特定し、輝線強度はプロセス制御の為に粒子と電子の密度をリアルタイムで定量化する為に使用されます。
ガス混合物、プラズマ温度、粒子密度等のパラメータは、プラズマプロセスを制御する為に重要です。プラズマチャンバーへの様々なガス又は粒子の投入によるこれらのパラメーターの変更は、プラズマ特性を変更し、プラズマと基材の相互作用に影響を与えます。プラズマをリアルタイムで監視・制御する機能は、プロセスと結果の改善に繋がります。
プラズマモニタリングは、例えばプラズマベースエッチングプロセスのプロセス制御にとっては重要です。半導体業界では、リソグラフィー技術を使用してウェーハを製造及び操作しています。そして、エッチングはこのプロセスの主要な部分であり、材料を非常に正確な厚さにラミネートすることができます。各層がウェーハ表面にエッチングされると、プラズマ監視を使用して、ウェーハ層でエッチングを追跡し、プラズマが特定の層を完全にエッチングして次の層に到達した時期を判断します。エッチング中にプラズマによって放出された輝線を監視することにより、エッチングプロセスを正確に追跡することができます。ここでは、エンドポイントの検出は、プラズマベースエッチングプロセスを使用した半導体材料の製造に不可欠です。
プラズマモニタリングの仕様
プラズマモニタリングは、オーシャンインサイトのHRシリーズやMaya2000 Pro等の高解像度分光計を使用した柔軟なモジュール式仕様で管理できます(後者はUVガスの人気的なオプションです)。モジュール式の仕様では、HR分光計を耐分極光ファイバと組み合わせて、チャンバー内で形成されたプラズマから定性的な放出データを取得できます。定量測定が必要な場合、ユーザーはデータを比較し、未知の輝線、ピーク、バンドを素早く特定する為の第三者のスペクトルライブラリを追加できます。
真空チャンバーの中に形成されるプラズマを監視する際の重要な注意は、チャンバーへのインターフェースです。ビューポートからプラズマを表示する為にせ設備を真空チャンバーに投入する又は設定することができます。チャンバー内の過酷な条件に耐えるように設計された真空フィードスルーユニット又はカスタムファイバーは、コンポネントをプラズマチャンバーに接続することができます。
ビューポートでプラズマを監視するには、測定するプラズマフィールドのサイズに応じて、コサイン・コレクタやコリメートレンズ等のサンプリングアクセサリが必要になる場合があります。サンプリングアクセサリがない場合、ファイバからプラズマまでの距離によって画像領域が決まります。より局所的な観察領域にはコリメートレンズ、180°の視野での光収集にはコサインコレクタを使用します。
測定条件
HRシリーズの高分解能分光計を使用して、他のガスがプラズマチャンバーに投入された時のアルゴンプラズマの放出の変化は測定しました。スペクトルデータは、チャンバーの外側の小さな窓から放出スペクトルを収集した(図1)分光計、ファイバー及びコサインコレクタを備えたを取得されます。閉鎖的な反応チャンバーのプラズマから収集した
図1:モジュラー式分光計の仕様は、真空チャンバー内のプラズマ測定用に設定できます。
200〜1100nm(グレーティングHC-1、SLIT-25)の発光を測定する為のHR2000+高分解能分光計(〜1.1nmFWHM光学分解能)は、耐分極ファイバー(QP400-1-SR-BXファイバー)を使用してコサインコレクタ(CC-3-UV)に接続されます。プラズマチャンバーからデータを取得し、プラズマ強度の違いと測定窓の不均一な問題に対処する為に、CC-3-UVコサインコレクタのサンプリングアクセサリが選択されました。その他のサンプリングオプションには、コリメートレンズと真空フィードスルーがあります。
結果
プラズマチャンバーの窓を通して測定されたアルゴンプラズマのスペクトルを図2に示します。690〜900nmの強いスペクトル線と400〜650nmの低強度の線は、それぞれ中性アルゴン(ArI)と単一イオン化されたアルゴン原子(ArII)からの輝線です。図2に示す放出スペクトルは、プラズマ放出について測定された豊富なスペクトルデータの明確な例です。このスペクトル情報を使用して、半導体製造中にプラズマベースのプロセスを監視及び制御する為の複数の重要なパラメータを特定できます。
図2:アルゴンプラズマの放出は、真空チャンバーの窓から測定されます。
水素ガスは、アルゴンプラズマに添加してその特性を変えることができる二次ガスです。図3では、アルゴンプラズマに水素ガスを追加した場合の効果が、チャンバーに追加される水素ガスの濃度の増加として示されています。アルゴンプラズマの特性を変化させる水素ガスの能力は、700〜900nmのアルゴン線の強度の減少によって明確になりますが、水素ガスの濃度の増加は、350-450nm間の水素線の外観に反映されます。これらのスペクトルは、プラズマ特性に対する二次ガスの影響を評価する為に、プラズマ放出をリアルタイムで測定する能力を示しています。観測されたスペクトル変化を使用して、チャンバーに追加される二次ガスの量を最適化して、要求のプラズマ特性を実現することができます。
図4:シースガスを追加する前に、真空チャンバー内でアルゴンプラズマ放出を測定する
図5:シースガスを追加すると、アルゴン放出特性は、400nm未満と約520nmで著しく変わりました。
結論
UV-Vis-NIR分光法は、プラズマ放出を測定する為の強力な方法であり、プラズマベースのプロセスの元素分析と正確な制御を可能にします。ここに示されているデータは、プラズマモニタリングの為のモジュラー式分光法アプローチの能力を示しています。HR2000+高分解能分光計とモジュラー式分光法は、チャンバーの状態が調整された時に、プラズマチャンバーの窓を通してプラズマ放出スペクトルを測定する為にうまく機能しました。
紫外線(UV)で優れた応答を示すMaya2000 Pro等、追加のプラズマ監視オプションがあります。又、分光計とサブシステムを他のデバイスに統合し、機械学習ツールと組み合わせて、プラズマチャンバーの状態をさらに高度に制御することもできます。